[Absentminded border line.] by Masaomi Serizawa
November 27th,200X
寝起きは悪い。いつだって悪い。
だが、これほどまでに最悪な目覚めの経験は、今まで無かった。
[Absentminded border line.] by Masaomi Serizawa
November 27th,200X
寝起きは悪い。いつだって悪い。
だが、これほどまでに最悪な目覚めの経験は、今まで無かった。
[I obtain you this evening.]
November 27th,200X
「はい、芹沢です……」
呼び出し音を10回近く聞かされた後で、ようやく不機嫌そうな男の声が出た。
携帯電話に添えられた、柳漣の口元が自然に綻ぶ。
[It was Pandora’s box that he opened.]
November 16th,200X
バスルームから、シャワーの水音が絶えること無く響いている。
柳漣はクリーニングから引き取ってきたばかりの服を脱衣所に置くと、台所に向かい朝食の支度を始めた。
[Omen of a long nightmare.] by Masaomi Serizawa
November 16th,200X
素肌に触れる、シーツの肌触りが違った。
ホテルのシーツはもっとこう、糊が利いた無機質な感じで……だからこの優しく温かい感触は、家庭特有のものだ。
[Worst holiday, Best night]
November 15th,200X
その夜、柳漣は雨の降りしきる、繁華街の路地裏を歩いていた。
ずっと諦めていた――。
期待して失望するぐらいなら、
最初から希望なんて持たない方がいい。
でも、こんな奇跡があるなんて……。
やっと見つけたんだ、今度は絶対に逃さない。
江戸後期から続く、高級老舗料亭を仕切る若旦那。
類い希なる美貌の持ち主で、男女問わず言い寄られることは
日常茶飯事。女は抱き、男には抱かれることを好む。
欲しい物を手に入れる為には、手段を問わない策略家。
雅臣のことが大好き。いつでも欲しくて堪らない。
彼の弱みにつけ込んで、強引に同居生活を始めるが、
全く相手にされず、悶々とした日々を過ごしている。
趣味は家事、特技は料理。
自慢の腕を雅臣に振るうものの、滅多に食べられることはない。
Age:28 BloodType:AB Height:176cm
――借金があるんだよ、凄え額の借金が。
俺に与えられた選択肢は3つあった。
マグロ船に乗るか、臓器を売るか、さもなくば……。
一番条件の良いものを、俺は選んだに過ぎない。
モグリの個人タクシードライバー。くたびれた中年オヤジ。
長めの髪はボサボサ、顎には無精髭、服はよれよれといった有様。
ある事情により莫大な借金を抱えている。
文字通りのやさぐれ(宿無し)で、現在は、柳漣のマンションで生活中。
休日は朝から飲んだくれて、ギャンブルに没頭していることが殆ど。
何かにつけて誘ってくる柳漣を頑なに拒絶するが、嫌いでは無いらしい。
微妙に近視。運転中のみメガネ着用。
無骨で無愛想。色々と秘密の多い男。
Age:36 BloodType:B Height:185cm
[What would he watch in my face?] by Masaomi Serizawa
November 2nd,200X
俺には好んで男を愛でるような趣味は無い。断じて無い。
だが、その日最後の客となった「彼」の寝顔は、とても美しかった。
[Scene of the always same morning.]
December 12th,200X
如月柳漣(きさらぎゆうれん)がリビングに顔を出したのは、午前9時55分だった。